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ソファの張地に使用するために、長年イタリア製生地の動向を見てきました。

新陳代謝の意味合いもあり毎年一定以上の新生地を入手するようにしており、自然と傾向等も感じられるようにもなっています。

それと同時に、「どのような生地が売れるのだろうか」との感覚も相応に磨かれてきたようにも感じます。

小さな生地サンプルを見ただけで、実際これにてソファを張り上げた際にどのような感じに仕上がるのかについて理解する必要があり、それが分かるようになると、逆に生地を見て新たなデザインの発想を広げることにも繋がります。

その生地にマッチするデザインをイメージすることになり、仮にそのテイストが総合コンセプトとまったく異種なものだと判断すればそれをチョイスすることはありません。

充分吟味した結果として生地チョイスとデザイン性がうまくマッチした場合は、人気の生地となり消費量は相応に増えることになります。

このようにプロダクトのデザイン性とも相まって人気生地が生まれるのですが、多少なりともその内容には違いが生じることからも、それは地域性とも無関係ではないことが見えてきます。

ひとつには決して無視できない予算面があり、多くの場合その良さは理解できても高額となる生地を選定することは難しい場合も少なくないようです。

もうひとつには、それとはあまり関係ないところで受け入れられる色味や柄の地域性があるようにも感じます。

好みの違いということになるでしょうが、それを前提としてチョイスする意識が生まれると大きなコンセプトが崩れることにも繋がりかねないため、やはり経験から生まれた感性や感覚を大事にしていきたいと考えています。

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