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開発サイドとして、一つの製品の中にも豊富なラインナップを持たせ、可能な限り多くの要望に応えようとする意識は不自然なこととは言えないでしょう。

当然のこととして、幅広い需要を取り込む観点において販売におけるリスク軽減があるのだろうとも思われます。

消費者の立場とすれば多くのラインナップより選択できるのですから、自身にとってちょうど良いものが見付かるのではないか、との期待感にも繋がるのかもしれません。

このように考えればラインナップが多いことに越したことはないのかもしれませんし、両者にとって何も問題はないようにも感じてしまいます。

しかしながらこれはあくまでも消費者にとっての選択肢の広さであり、発信する立場の開発サイドとしては、この意識面だけでは難しいように感じます。

自然とお客様に迎合することにも繋がるでしょうし、それが本当にお客様にとって良い選択なのかについて考えると、必ずしもその限りではないようにも感じます。

特に家具においては価格差がとても大きなものの代表格とも言えるため、本物のプロのアドバイスがなければ難しいものと思われます。

例えばソファにおいて、同じデザインの中にローバックやハイバックのように座り心地に幅を持たせているものも少なくないのですが、デザインバランスとしてその両方にベストなものはあり得ません。

また、座クッションの置き方を縦/横と変更することにより左右の組み換えを可能とするカウチも見られますが、本来のクッション構造としてその両方の座り心地を満足させることは不可能に近いと言っても過言ではありません。

やはり自信を持って「これだ!」と言えるものを継続的に開発/発信する意識が大事になるのでしょうし、それが日本の家具文化の向上にも結び付くものだと信じています。

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