2026/07/07 | Blog
仕立ての良い○○等、一般的には洋服や着物に対して用いられる表現だと思われます。
一品一品手仕事にて丁寧に作り上げられた印象となり、そこには職人技も感じられるものです。
縫製品に用いられることが一般的とも思われ、その点においてソファの表皮材にも当て嵌めることが出来るだろうと考えています。
一般的なソファは製造コストを抑えるためにも量産品が多いもので、それゆえ安価だと感じられる価格帯製品が少なくないことからも広く使用されているものと思われます。
その多くは日本製でもないようで、率直なところそれらは仕立てが良いとは感じられないものになります。
これは個人的な感覚かもしれませんが、ソファや椅子は人間が直接触れる家具となることからもディテールに自然と目が行きがちで、細かな縫製仕様についてもとても気になってしまいます。
経験上、型出し/裁断/縫製のクオリティと製品としての全体クオリティは明らかに比例しているようにも感じられます。
公共の場に多い印象ですが有名な海外ブランドソファや椅子のリプロダクト品を目にすることがとても多いもので、それらは縫製等のディテールをチェックするまでもなく佇まいがまったく違うものです。
その理由を追及すべくディテールを確認することになるのですが、きっちりと角が出ていなかったり設けるべく面が曖昧になっていたりと…いろいろと気付くことになります。
美大時代の椅子製作の実習において、良かれと思って施した坊主面に対して手を入れられた金ヤスリ一本の一引きにて一気に全体の印象が引き締まったことを今でも鮮明に思い出されます。
明確な規則性があるものではないものの、仕立ての良さはその製品の良し悪しを決めるディテールにあるのだろうと考え大事にしています。
2026/06/27 | Blog
アングルと聞くとチャンネルとセットにてイメージされる方も少なくないかもしれませんが、それらは建築鋼材となりここでは違う意味合いとなります。
一般的にはカメラアングルのことを言い、つまり撮影する際のカメラの角度のことを指します。
また、そこから転じてモノの見方や観点のことを指すこともあるもので、個人的にはすべてにおいてこれが大事になるだろうと考えています。
少なくとも当方の時代では美大に入学する際には静物デッサンは必須科目でしたし、ある卓上静物に対して周りを囲うように受験生の場所(席)が定められます。
対象物に最も近い場所ではお風呂の椅子のような低い席となり、最も遠い場所では立ち席になります。
その場所は入室する際にくじ引きにて決められるもので、その点において公平なのですが、その場所によりデッサン画としての見栄えがまったく違ってくることが大きな問題点です。
絶対的な画力があれば少々不利なアングルであってもカバーできるのでしょうが、当時はその場所により合否が決まるとまで言われていたことが思い出されます。
同じモノを見るにしてもそのアングルにより見え方や感じ方も変わるもので、ある静物に対して真正面では奥行き感も表現しにくく画として単調に見えたりもします。
イーゼルの位置は一切動かすことはできませんので、自身の首を多少横方向に振ることによりカバーすることも常でしたが画面と視線の位置が常に変わることもあり相応に難しさを伴います。
純粋美術ではないデザイナーにおいてもモノの形を正確に捉える技術力は必須との考え方のもと入学後もデッサンの授業はありましたし、その基礎があっていろいろなアングルからの見え方も考えながらデザインする意識に繋がっていると思っています。
2026/06/17 | Blog
先日は納品のために少々遠方まで出掛けたこともあり、少しばかり足を延ばして有名な神宮にも行ってみました。
さすがに小さな規模のいわゆる神社ではないことからも、参道の両側に立ち並ぶ大木の迫力には久しぶりに圧倒されたものです。
その厳かな雰囲気からも単なる風景から感じられるもの以上に心に響くものがあったもので、ある意味とても不思議な感覚でした。
当方は石川県の小さなローカルスキー場の麓で生まれ育ったこともあり、当然のように山々に囲まれた環境でした。
標高こそそれほど高くはなかったものの、記録にも残るような豪雪地帯ともあり小さな頃より雪とは触れ合う機会も多く、ウインタースポーツだけではなく冬季期間中は除雪のお手伝いも必然だったことも思い出されます。
北陸の雪は水分が多いことからもかなり重く重労働になるのですが、決して短くなかった玄関までのアプローチを綺麗に除雪し終えた時の快感も今でも思い出されます。
学校より帰宅して宿題に取り掛かることなく真っ先に除雪作業を行ったもので、何度も何度も同じ作業を繰り返すことにより徐々に綺麗な通路が顔を出すことに面白みを感じていたようにも思われます。
冬ですので日が暮れる時刻も早く、暗くなってもなお黙々と作業を続ける姿に両親からはそのくらいで止めるように声を掛けられたことも記憶に新しいものです。
思い起こせば、小学校に入学する前より黙々と工作することが大好きでしたし、何事にも没頭してしまう癖は今でも抜けることはありません。
とても不思議なことですが、このような小さな頃の思い出も鮮明に思い起こされるきっかけになったものが立ち並ぶ大木だったように感じ、何とも不思議な感覚を覚えています
2026/06/08 | Blog
ソファのクッション中材にフェザーを用いた仕様においては、すべてをウレタンにて構成された仕様と比較するとふんわりと包み込まれるような座り心地を得ることができます。
身体の形状に沿うことにより体圧分散性にも優れ密着度も増すのですが、その特性からも空気の層が保たれますので、寒い季節は暖かく、また暑い季節でもべとつくことも少なくとても快適なものです。
同じ水鳥でもダックよりもグースの羽が上質だとされ、いわゆる動物臭もほとんど感じられないことからも大量に用いることも可能です。
もちろんそれだけではクッション性に芯がないことからもサポート力に欠けるため、ベース部にはウレタンを仕込むことも一般的です。
そのウレタン層にてクッション性を調整することも可能なことからもある意味とても理に適った仕様かもしれません。
一方その特性からも多少なりとも座り跡が残ることもあり、そのままの状態では決して綺麗とは言えないことからも時折メンテナンスを行うことが望ましいものです。
オーセンティシティソファにも使用されている上質な欧州産グーススモールフェザーは復元力も高く、日常的にはパンパンと叩きながら形を整えることにて比較的綺麗な状態を保つことができます。
しかしながらクッション中材を覆うカバーのズレは生じたままの状態となりますので、月に一回程度はカバーのファスナーを開け中材を膨らませながら適正な位置に戻してあげることがお勧めです。
カバーによるプレッシャーからも解放されるためフェザーも最大限膨らみ、空気も多くため込むことからもそのふんわりとした座り心地を最大限味わうことも可能です。
一方のフェザーを用いないオールウレタン仕様においては比較的形状も綺麗に保たれることからもメンテナンスの手間は減るかもしれませんが、定期的なメンテナスを行うことにより更に愛着も湧いてきますので、長く大切に使用する意識面も自然と芽生えるものです。
2026/05/27 | Blog
当方においても少しばかりバブル期を経験しています。
丁度大学を卒業したタイミングとなり、新卒で入社した総合家具メーカーのデザイン部に勤務後は在日米軍基地内施設設計に携わりハワイにあった事務所とも協力しながら働いていた時期とも重なり、何よりもいわゆる普通の状態を経験していないことからも率直なところその実感はありませんでした。
バブル景気が崩壊した1991年2月以降には期せずして自身の周辺でも大きな流れがあったもので、翌年3月には都内より地元である石川県にUターンすることになりました。
同年4月~イタリアへの短期留学も経験することになり、正直なところバブル崩壊との感覚を抱くタイミングもなくいろいろな経験をする時期と重なったものです。
帰国後は自身の感性を尊重してもらいながら新たな家具開発にも携わることになり、盛大だった当時のIFFTにも初出展にて相応な注目を浴びたことも思い出されます。
その後においても毎年ミラノサローネには足を運びましたし、ラタンを用いた新たなジャンルの家具開発過程ではインドネシアのバンドンにあった協力工場にも頻繁に通うことになりました。
たまたま身を置いた職場は特殊な環境だったり、また新たなジャンルにチャレンジすべく開発に邁進する時期と重なったりと、単なるデザイン業務だけではなく実際作り上げる過程にも携わることが出来たことはとても充実していたと言えます。
このように幸いにも好きなことに携わることが出来たこともあり、正直なところ当時は世の中の景気について感じ取る暇もなかったと言えるかもしれません。
それ以上に若さゆえの元気さもあったのかもしれませんが、新たな製品を開発にて世の中に送り出すことにより業界にとって何らかの刺激を与えることが出来れば…との生意気な気持ちにて取り組んでいたように感じられます。
景気が良いと言われる期間の方が断然少ない状況ゆえ、暗い気持ちになるのではなく新たなことにチャレンジする気持ちは常に持ち続けたいと考えています。