ハンギングチェア

ハンギングチェア

以前は少しばかりラタン家具開発に携わったことがあり、当時はインドネシアのバンドンにあった協力工場にも何度か足を運びましたし、思い起こすととても良い経験だったと感じています。

 

ラタン家具の歴史や特徴を理解しつつ、それをデザインに活かす意識面はある意味とても新鮮に感じたものです。

 

当時はイタリアミラノでの短期留学を終えたタイミングともあり、伝統的なラタン家具のデザイン性や使用性に挑戦する意識面もあり、あえて異種素材を組み込んだりいろいろなカラーを取り入れたりと…、話題性において相応に注目されたことも思い出されます。

 

その後はある意味対照的とも言えるイタリア有名高級ブランドソファのライセンス事業にも携わることになり、今思えばいろいろと経験させていただいたことには感謝の気持ちです。

 

ラタン家具においては、山川ラタン創立者の二代目となる山川譲氏よりノウハウを教わることになり、そちらではナナ・ディッツェルがデザインしたハンギングエッグチェアの製造を手掛けていたこともありとても印象的なものでした。

 

そのようなご縁もあり、現在は山川譲氏がデザインされた屋外でも使用可能なアームチェアとテーブルをベランダで使用していますし、その包み込まれるような休息系の座り心地はとても快適なものです。

 

先日はあるホテルに設置されていたハンギングエッグチェアを模倣されたと思われる製品を試すことになったのですが、ハンギングされていることの浮遊感の心地良さはあるものの背もたれ部の当たり感が窮屈なことからも似て非なるものでした。

 

それだけに本物の心地良さを久しぶりに体感したいと思い、当時も何かとお世話になった現社長に久しぶりにコンタクトすることになり、ショールームの予約も入れることになりました。

 

ソファとは違うハンギングの心地良さに加えて、そのデザイン性からもまさしく卵の中に居るような落ち着き感を久しぶりに味わうことで何かのきっかけになれば良いだろうと考えています。

「真実はひとつ」

身近な存在と言える家具ですが、一般の方々においては意外と分からないことが少なくないと思われます。

 

同じアイテムであっても価格帯の幅がとても広いこともひとつの理由とも思われ、各々の仕様に対する適正価格については理解することも難しいでしょう。

 

それだけに、本来であればメーカーにおいても販売サイドにおいても「分かりにくいだけに真実を教えてあげよう」との意識面が必要だと思われるものの、現実的には「分からないだけに真実とは関係なく販売しよう」との意識面が小さくないように感じてしまいます。

 

何が正解なのかネット検索にて調べることもあると思われますが、それら情報の多くが既に真実ではない業界って如何なものでしょうか。

 

このような環境下ではいつまで経っても成長は望めませんし、安価な製品開発と販売に注力する部分だけが成長を続けることにより家具自体の偏差値も確実に下がってしまいます。

 

本物だけが持つ重厚感や高級感に加えて、何よりも絶対的な安心感は家具における最重要な要素とも言えますので、こればかりは実際体験するしかないのかもしれません。

 

今までは満足していた家具においても比べると全然違うと気付くことも多いと思われます。

 

一方では、実際使用しなければ分からないとなると現実的なハードルはかなり上がってしまいますので、やはりメーカーサイドも販売サイドも常に真実を発信することを心掛けてもらいたい気持ちです。

 

その真実においてもとてもファジーな状態になってしまっているものにソファがあり、特に日本においてはそもそも消耗品との位置付けとなることからも10年も持てば充分との認識のもと製造される製品が大半となります。

 

それゆえ10年保証となる製品が多いのかもしれませんが、本物のソファにおいては僅か10年程度で保証できなくなる程度のつくりではないことを確認しておきたいと思います。

「家具業界のレベルアップ」

家具においても同じアイテムであれば基本的に同じような機能を有することからも、その選定基準はデザイン性や質感だったり実際の使用性だったりと、やはり現物を確かめることが大事になると思われます。

 

価格面においても重要な判断基準になるでしょうし、良いものだとは理解しつつも予算的に難しいこともあるでしょう。

 

椅子やソファ等、身体に触れる体感家具においては実際の使用性を確かめることは必須ですし、特にソファにおいては価格帯の幅が広い家具の代表格とも言えることからも充分な吟味が必要になると考えられます。

 

一般的な椅子においては構造体についても確認することが出来るのですが、張りぐるみタイプとなるソファにおいては中身が見えないことからも実際の耐久性について外観より判断することは難しいものです。

 

またソファにおいては価格帯と耐久性が必ずしも一致しない製品も少なくないことからも、もしかすると最も判断が難しい家具と言えるかもしれません。

 

ひとつの判断基準としてはブランド力があると思われ、有名な海外ブランド製品であれば安心との事実はあったと思われるものの、一部のブランドにおいては生産国が違うことにより必ずしもそれが当て嵌まるものではないことが大きな問題点です。

 

実際の耐久性は使用してみないと分からないことも事実のため、結果として予想よりもはるかに早くへたってしまったとの声を聞くことも少なくない現実があります。

 

従って実際のユーザーの多くの声を確認することも必要なのかもしれませんが、何よりも製造者や販売者として真実を伝えることは最低限の倫理観だと考えます。

 

一部では誤った情報を一切の疑いなく発信し続けていることを耳にしますので、真実を伝えたうえで実際のユーザーになる方々の判断を仰ぐ姿勢を持ち続けることを願いたい気持ちですし、結果として日本における家具業界全体のレベルもアップするものと信じています。

「ソファの下地」

以前にも記したことがあるのですが、ソファの下地とも言えるベースクッション材についてはいろいろな種類があることからも各々において様々な評価があります。

 

日本では製造コストを抑える趣旨においてSバネとかスネークバネと言われる太い針金状のバネ材が用いられることが多く、それは躯体部分に大きなテンションを掛けることがないことからも合板をメインとして作ることが可能なことも製造コストに有利に働くものです。

 

また、その合板フレームのサイズに合わせてバネ材を発注することになるため、作業時間も短く結果としてコストをかなり抑えることが可能になることからも多用される傾向があるようです。

 

他にはコイルスプリングと言われるものもあり、同様に製造コストを抑える趣旨において総体的に有利な躯体構造とすることが可能なものです。

 

コイルスプリングの代わりにウレタンを敷き詰める構造もあり、いずれにおいても合板を主材として躯体を組み上げることが可能なことからもある意味とても効率の良い構造と言えるかもしれません。

 

その点において、ウェビングテープと言われる素材は引っ張りながら縦横に編み込むように密に張り込むことになるため最も手間も掛かるもので、更には何十本ものテンションがフレームに掛かることからも合板を主材とすることが難しく無垢材やスティール等の強固な素材を用いる必要が生じます。

 

作業効率も含めるとコストアップとなることからも日本においては用いられることが少ないのですが、それだけにソファ先進国となるイタリア有名ブランドメーカー各社がこれを用いていることには相応な意味があると考えられます。

 

第一にはその反発性能にあり、金属のバネ材とは違い面で受けることからもその上に乗るウレタンにも優しく体圧分散性にも優れ荷重を優しく受け止め余裕を持ってどっしりとサポートするようなイメージになります。

 

もちろん耐久性にも優れ金属のバネ材にはない優しく安心感のある座り心地になりますので、その違いについては一般的な評価を判断材料とすることなく実際座り比べていただくことをお勧めします。

「作品」

必ずしも資格が必要とは考えていませんが、デザイナーと名乗るからにはその仕事の本質について充分理解しておくことが大事だろうと考えています。

 

デザインの基本を学ばなくてもセンスに恵まれた人は多く存在しますし、それが一般人よりも高いと言うだけで自らをデザイナーと称する人も多く存在するようです。

 

もちろん独学にて勉強され相応な実力が伴っている人も存在しますし、そのセンスや実際の仕事ぶりが評価され有名になることもあるでしょう。

 

そうなると仕事の依頼も多く入るようになるでしょうし、それらがメディアに取り上げられることにより更に知名度が増すものと思われます。

 

結果として巨匠とも称されるような有名デザイナーとなり、いつしかその人のデザイン物や空間は作品と称されるようにもなっていきます。

 

インテリアデザイナーを名乗る人も多く、内装だけではなく設置される家具においても選定にて落とし込みも行います。

 

当然のように全体的な空間バランスを取りながら各々のサイズやカラー等も選定されるもので、全体として綺麗な空間構成を意識されるものと思われます。

 

個人邸であればそれが本宅なのかもしくはセカンドハウスなのか、当初のヒアリングにて把握のうえ進められるものとも思われますが、それゆえのその空間における施主の過ごし方については優先順位が低いように感じることが少なくありません。

 

空間に対してソファが大き過ぎるとか、バランス面を気にされるばかりに結果として施主にとって本質的にマッチした空間には仕立てられない可能性も否定できません。

 

作品ゆえ多少のことは承知したうえでの契約かもしれませんが、少なくとも個人邸においては自身の作品づくりよりも施主の実際の生活ぶりを優先させることを願いたいものです。