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家具のことが好きなだけに、この業界におけるいろいろな問題点が見えてくるのかもしれませんが、やはり他の工業製品と比較すると軽視されがちのように感じてしまいます。

価格面は決して軽視できない要素であることは確かなものの、あまりにもそのことを打ち出した内容が多いことには疑問に感じることが少なくありません。

高度成長期を経て、業界によっては完全に成熟期に入ったことにより益々競争も激化してきたのかもしれませんが、それにより進化の歩みを止めない業界も多く存在します。

家具においてはどうでしょう。残念なことに成熟期に移行するどころか本質の部分では逆行しているようにさえ感じてしまいます。

良い家具となると海外ばかりに目が向いてしまいがちですが、本来の日本の家具文化も決してそれらに劣るものではありません。

むしろそれらに勝る良い部分もたくさんあるのですが、その部分を更に高めようとする意識が希薄なのか、少なくとも技術の継承が上手に出来ていないようです。

一方、工芸品と言うジャンルにおいては比較的上手に継承されているようでもあり、その境界線がどこにあるのかはっきりしませんが、注目度合いも含めて両極端な状況には不思議に感じてしまいます。

いずれにしても、単に安ければいいとか、とりあえず予算内で一通り揃えることが必要とかの現在の風潮が将来の家具文化に良い影響を与えるとは考え難いものがあります。

このままでは本来の日本の良い家具を知らない世代がどんどん増えることになり、そうなると残念ながら次の世代に良いものが伝承されることはありません。

成長期から成熟期を迎え、衰退期に移行することがないようにどのような業界も努力を継続しているのですから、家具業界においては成熟期を迎える前に衰退期に移行することがないように祈りたい気持ちです。

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