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かつては曲線使いがデザインポイントとなるラタン(籐)家具開発に携わっていたこともあります。

木材同様にラタンにも様々な種類があり、その種類により用途も様々なのですが、それらはいずれも堅木とはまったく違う特性を持っています。

各々の部材はピールと呼ばれる皮籐や水牛の革にて固く巻き付けてジョイントすることになりますが、それらには幾分か「遊び」があります。

籐自体もしなりますので、例えば椅子やソファの場合は、そのしなりや遊びがあることにより破損し難い強度を保持する仕組みです。

従って設置する床面が平滑でない場合であっても、腰掛けることでそれに追従することによりガタツキは生じませんし、多少無理な力が加わったとしても程よくそれを逃がすことにより耐久性を保持することになります。

一方、籐ではなくフレームに木材を使用した一般的なソファではどうでしょう。
意外とガタツキが少ないのですが、どんなに立派なお宅や施設であっても完全に平滑な床面ではないことからも、それらも籐家具同様にフレーム自体がしなって接地することになっているからです。

木材構造の場合も籐家具同様に多少しなることによりガタツキを防いでいるとの言い方も出来るかもしれませんが、これはまったくの本末転倒になります。

木材構造の場合は、多少でもしなることによりそれが長年にわたってくるといつかは連結部が開きやがては壊れてしまうのです。

そればかりか、ベースとなるフレーム部の剛性が不充分だと、座クッションの下地材として用いられる各種ベースクッション材の性能を充分引き出すことが出来なくなってしまいます。

ソファの場合は見えない内部構造の剛性があってはじめて各種部材の性能が100%引き出されることになるため、ソファの左右どちらかの前角を持って後方に倒すように持ち上げてみて左右どちらの脚もほぼ同時に持ち上がるかを確かめてください。
これが表面に見えてこない剛性感の簡単な見極め方になります。

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