実績値やコスト面の観点からも、新素材を積極的に用いることは意外と難しいように感じます。
それ以上に、もしかすると素材メーカーとそれを実際の製品に用いるメーカー双方の思い込みがあるのかもしれず、結果としてこれらが上手に噛み合うことは少ないのかもしれません。
当然のこととして双方のタイミングもあるでしょうし、このように考えると何らかのご縁がない限り新たな取り組みから生まれる製品が世に送り出されることもないのかもしれません。
家具デザインを考えるうえで、それがどのように使用されるのかイメージすることはもちろんのこととして、その製造面についてもまったく無視することは現実的なことではありません。
特にソファにおいては単なる形状だけではない部分の方が多いとも言えるくらいで、外からは見えてこない中身にてその品質が決まってくると言っても過言ではないのです。
それだけに中身に使用する素材はとても重要になり、一定以上のスペックに限定するとともに実績値を重んじる姿勢はある意味当然のこととも言えます。
しかしながら実績値を重んじるばかりに、もしかするとその分野では使用実績のない新たな素材については積極的に導入する姿勢が結果として薄れることも否定出来ないように感じます。
そのように考えると、まったく新たな取り組みはその必要性に迫られなければ第一歩を踏み出すことが出来ないのかもしれませんが、そのきっかけとは別に常に現状に疑問を持つ姿勢も大事になるのでしょう。
そして、開発には「これでいい」とのゴールがないことを肝に銘じて取り組む意識とともに、良い意味でのチャレンジ精神も必要になるものと思われます。
すべてにおいて新たな試みを選択することが得策とも考えませんが、慎重さを重視しつつも良い意味でのワクワク感を楽しむ意識も必要になるのかもしれません。