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家具に使用される樹種としては、ずいぶんと長く常に高い人気を維持し続けているウォルナット材があります。

「次なる樹種は何だろう」と思いながらも一向にこの人気は衰えることはないもので、既に完全に定着したものと思われます。

反対に言えば、多くのメーカーではウォルナット材を設定することは当たり前のことになっているのですが、その使われ方は様々なこともあり一般の方々にとっては少しばかり分かりにくいものになっているようにも感じます。

比較的多いものとしては、いわゆるウォルナット色と天然のウォルナット材の色味の違いに驚かれるケースです。

歩留まりを重要視することにより、辺材部分の白太も使用することになるのですが、元来濃い色味の樹種だけにその違いはかなり目立つこともあり、それを補う意味合いで補色したものと思われます。

材料を可能な限り有効利用する意味合いにおいてこれを否定することは出来ないものの、その場合はそれを行っていることを知らしめる必要があるだろうとの個人的な見解を持っています。

更に混乱させるものとしては、全体としての均一性を図る意味合いにおいて、補色でもなく全体に塗装を施したものもありますので、既にこれはウォルナット材としての天然の部分はなくなっていると言えます。

当然のように天然木が持つ経年変化を楽しむものでもなく、人工素材のような不変性を重要視する方においてはむしろ好ましいものなのでしょう。

このように、天然木に対する考え方や求めるものも様々なこともありどれも否定することは出来ないだけに、正々堂々とその仕上げ方法については公表する必要があるものと考えます。

それにより天然木についての正しい知識も広く浸透することになるため、我々家具業界に携わる者がじっくりと考える時期が訪れているものと思います。

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