単に機能性が優れているだけでも、またデザイン性が優れているだけでも売れるものにはなりません。
更には価格面とのバランスもありますので、これらが程よく嚙み合った製品開発が重要になると思われます。
その点において製造コスト面についても相応に知ることはデザイナーにとって必要なこととの前提に基づき、日本国内ではデザイン部に配属される前に工場研修や勤務も少なくない印象です。
「つくりのことも分からないくせに…」との現場からの声が普通に聞こえてくることも容易に想像できますし、その意味合いも理解できるだけに如何にも日本らしいとの感覚です。
一方のイタリアにおいては、若い頃に短期留学を経験した頃のことになるのですが「デザイナーはつくりのことを知り過ぎない方が良い」と教わりました。
知り過ぎることにより製造不可能な形状は最初から外すことになりますし、ひいては作りやすさのことも意識せざるを得なくなります。
結果として少なくとも斬新的なデザイン性は生まれにくくなりますので、それが各々の「メーカーらしさ」に繋がるのかもしれませんが、その点だけ捉えると停滞しているように感じられる可能性も否定できません。
それゆえ、工場での製造力を知ったうえでその中でも最難易度となるようなデザイン性とすることにより徐々に製造力がアップするものと考えています。
決して容易ではなく当初は不可能かもしれないと感じられていたものが実際の形となって表現された際の達成感は分かち合いたいですし、結果として製造力がアップすることは素晴らしいことです。
イタリアで教わったことの本当の意味合いはここにあるのだろうと理解していますし、イタリアのようにデザインを具現化するモデラーと言う職種が一般的ではない日本においてはデザイナーが担う役割も大きいのだろうとも考えています。