2025/11/27 | Blog
最近対応させていただいたお客様より、ソファ屋さんや家具屋さんでソファの座面はやわらかいとへたりやすいとの説明を受けたとの内容がありました。
そのような説明をされていること自体驚きでしたが、確かにそのように感じられている方が少なくないことを実感することになっています。
理想形はやわらかいクッション性だが、早めにへたってしまうように感じるためそれに備えて若干硬めを選定する方が良いでしょうか?との質問です。
また、耐久性の観点からはやはり硬めのクッション性の方が望ましいでしょうか?との質問もありました。
つまり「やわらかいクッション性=へたりやすい」/「硬めのクッション性=へたりにくい」との感覚が一般的に受け入られているものと推測できます。
確かに高密度でありながらも低硬度のウレタンが開発されるまではそのような概念で間違いはなかったものと思われますが、現在はその限りではないことを先ず確認しておきます。
同じ体積であっても重量が軽いウレタン(いわゆる低比重ウレタン)を使用することにより、特にそれらの使用量が多いソファにおいてはコストを大幅に削減することが可能となります。
また、その使用量自体を極力減らすことによりコストを抑えることも可能になります。
それゆえ安価なソファにおいては、例えばアームトップ部を押さえるとすぐに下地の硬い部分を感じてしまいます。
張りぐるみタイプのソファは底面を除くボディのすべてがウレタンで覆われているのですが、その層が極端に薄いものは勢いよくぶつけてしまうと怪我をしてしまうなんてことも現実的に起こり得ます。
つまり、ソファにおいてウレタンはとても重要な位置付けになりますので、コストを抑えるばかりにウレタンの質や量に手を付けることは寛ぎの観点からは本末転倒になってしまいますので、その分良いソファは相応なコストが発生していることを認識すべきだろうと考えます。
2025/11/17 | Blog
写真との出会いは大学生時代までさかのぼります。
写真の原理を学ぶためにもピンホールカメラを自作しましたし、カメラを用いた授業ではフィルム現像から印画紙への焼き付けまで学ぶ機会に恵まれました。
カラーフィルムの現像は全暗での作業となることからも難易度が高くなることもありますが、純粋な写真を学ぶためにもモノクロフィルムを用いたものです。
それでも慣れないうちはその工程にて何度か失敗も経験しましたが、それだけにとても興味深く自身でもそれに必要な道具一式を買い揃えアパートの押入れを暗室代わりに作業していたことも思い出されます。(それらは現在も大切に保管しています)
現在のデジタル写真との大きな違いは、フィルムの場合は撮影枚数が限られることからも一枚一枚丁寧に撮影する必要があります。(「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」とはいきません)
既にその感覚は薄れてしまっていますが、このような一連のアナログ作業には相応に意味があったものと考えています。
カメラのファインダーを覗き込むところから始まり、印画紙への焼き付け作業が終わるまではどのような写真が撮れたか確認することは出来ません。
その点において現在のミラーレス一眼では撮影時におおよその仕上りも確認することが出来るようです。
既に一眼レフ機の時代は終了したものと思われますが、手に伝わるシャッターの僅かな振動や存在感のある音は何とも心地良いものがありますし、個人的には小さなファインダーを覗き込む撮影スタイルに大きな意味があるものと感じています。
液晶モニターでも確認することは出来るものの、レンズから入った光がレフレックスミラーを通して光学ファインダーに届けられる機構はカメラの原点のような気がします。
また、その小さなファインダーを覗き込み絵作りに集中することにより、味わいのある写真が生まれるものとも考えています。
2025/11/07 | Blog
格好良いとかそうでもないとか、これは主観的なものゆえ同じデザインであっても両方の意見があって然るべきなのですが、両方の意見が多く混在するものほどある意味特徴的なデザイン性だと言えるかもしれません。
いわゆる癖のあるデザイン性にはその傾向も強く、話題づくりとの観点からあえてそれを狙うことも少なくないように感じられます。
一方デザインの基本は売れることにあるとも考えていますので、やはりデザインは感性だけではなくある程度の計算も必要になると考えています。
その点において一般的な多くの評価が「格好悪い」では売れるものにはならないため相応な「恰好良さ」も必要になるのですが、この度合いが最も難しいとも考えています。
純粋美術の世界では自身の感性を出し切ることに没頭することになり、そこから生まれた作品に対して絶対的な価値を見出し評価されることになります。
発表時にはほとんど評価されなかったものが長い年月とともに高い評価に切り替わる作品もあるでしょう。
一方のデザインにおいては短期決戦的な要素を含み持つことが多く、想定販売数量を大きく下回るものは即失敗作として評価されてしまいます。
私自身、当時在籍していた家具メーカーより1994年に発表された椅子やソファの評価はかなり高かったものの、それに販売量が伴うことなく当時は「10年早い」とまで揶揄された経験があります。
初出展となった当時の東京国際家具見本市では大きな話題となり、15周年記念イベントとして行われた一般入場者の人気投票では国内外600社以上の出展企業の中でベスト10にも選出されました。
当時の主要なインテリア雑誌数誌にも取り上げられ話題性は申し分なかったものの、製造コスト面もあり実際の販売には結び付かなかった典型的な事例にもなったのですが、年月とともに評価され売れるようになるデザイン性も大事にしていきたいとの気持ちもあります。
2025/10/27 | Blog
特にソファにおいては、不思議と消耗品との意識のもと製造されるケースが少なくないように感じています。
単に観賞用の家具ではなく毎日多くの時間をその上で過ごすことになりますので、それだけに消耗部材と言われるものも比較的多くなることも事実です。
一般的には表皮材と言われる表面に張られている張地は典型的なものですし、毎日体重を預けることになる座面の中材やそのベース材においても典型的な消耗品と言えるでしょう。
使用頻度の観点からもそれも理解できるものの、多くの製品で見られる現実的な耐用年数においては率直なところ「それはないだろう」との気持ちです。
一般的には10年保証を謳うことが可能な製品はクオリティが高いと判断されているようですが、現実的にはそれらにおいても7~8年程度で本来の機能性の半分以上を損なうものが多いことを耳にします。
もちろん10年保証の対象は消耗部材以外に限定されますので、通常使用において例えば躯体部分が壊れてしまうようなことは稀だと思われます。
これもあくまでも通常使用において破損した場合に保証されるものであり、そのことは一般的に証明できるものではないこともあり現実的には泣き寝入りとなるケースも少なくないのでしょう。
ソファにおいては、その機能性からも飛び込むように腰掛けるケースも少なくないようにも感じられ、やはりその場合は躯体フレームに相応な衝撃が加わりますので決して望ましい使用方法ではありません。
それが原因で壊れてしまったことを自覚することもあるのでしょうが、一般的には最大荷重が記載されているものでもないため、あくまでも常識の範囲内での保証範囲になるものと思われます。
このように考えると何とも不安に感じる製品が多いように思われますが、実績として一生ものと言えるソファも存在しますので、先ずは本物に触れる機会を設けて感じることがお勧めです。
2025/10/17 | Blog
ソファには大きく分けるとすべてが生地で包まれたいわゆる張りぐるみタイプとボディ部分をあえて露出させたウッドフレームタイプがあります。
それらには各々の特徴があり、どちらが良いとか悪いとかではなくあくまでもデザイン性も含めた好みとなることが大前提にあることを前置きしておきます。
一般的ゆえ張りぐるみタイプの方がイメージしやすいでしょうし、一方のウッドフレームタイプにおいては、かつては長椅子と言われたような椅子の延長線上にあったものも思い出されます。
それゆえそれらはソファとは認識されていなかったようにも感じられますし、やはりオーセンティシティソファの誕生は大きな転換点だったようにも感じられます。
長椅子ではなく初めて上質なソファと言える座り心地を手に入れたもので、単にお尻が痛くなり難いようにと板座上に薄いクッションを置いたような仕様とはまったく違うところが肝になります。
そもそも出発点が違うのですが、つまりウッドフレームタイプのデザイン性は好きだがソファとしての機能性は張りぐるみタイプには敵わないとの認識が一般的だったことからも、ある意味割り切った選択を迫られていたようにも感じられます。
その点において同じスタートラインに立つことが出来たとも考えられ、どちらのタイプが自身にマッチするのか…に絞り込んで選定することが可能です。
ウレタンと生地で包まれた張りぐるみタイプの方が痛くないとか危なくないとか思われがちですが、そのような印象もしっかりとしたクッションがほぼ払拭してくれるでしょう。
また、ウッドフレームタイプにおいては張地の占める割合が少ないことからも費用的にも替えカバーによる模様替えもハードルが下がりますし、生地ではないウッド部分は経年劣化ではなく変化と捉えるとどんどん愛着も湧いてきますので、他の木製家具と同様との意識を持つと楽しいのかもしれません。