「評価されるデザイン性」

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格好良いとかそうでもないとか、これは主観的なものゆえ同じデザインであっても両方の意見があって然るべきなのですが、両方の意見が多く混在するものほどある意味特徴的なデザイン性だと言えるかもしれません。

 

いわゆる癖のあるデザイン性にはその傾向も強く、話題づくりとの観点からあえてそれを狙うことも少なくないように感じられます。

 

一方デザインの基本は売れることにあるとも考えていますので、やはりデザインは感性だけではなくある程度の計算も必要になると考えています。

 

その点において一般的な多くの評価が「格好悪い」では売れるものにはならないため相応な「恰好良さ」も必要になるのですが、この度合いが最も難しいとも考えています。

 

純粋美術の世界では自身の感性を出し切ることに没頭することになり、そこから生まれた作品に対して絶対的な価値を見出し評価されることになります。

 

発表時にはほとんど評価されなかったものが長い年月とともに高い評価に切り替わる作品もあるでしょう。

 

一方のデザインにおいては短期決戦的な要素を含み持つことが多く、想定販売数量を大きく下回るものは即失敗作として評価されてしまいます。

 

私自身、当時在籍していた家具メーカーより1994年に発表された椅子やソファの評価はかなり高かったものの、それに販売量が伴うことなく当時は「10年早い」とまで揶揄された経験があります。

 

初出展となった当時の東京国際家具見本市では大きな話題となり、15周年記念イベントとして行われた一般入場者の人気投票では国内外600社以上の出展企業の中でベスト10にも選出されました。

 

当時の主要なインテリア雑誌数誌にも取り上げられ話題性は申し分なかったものの、製造コスト面もあり実際の販売には結び付かなかった典型的な事例にもなったのですが、年月とともに評価され売れるようになるデザイン性も大事にしていきたいとの気持ちもあります。

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