「コストパフォーマンス」

「コストパフォーマンス」

一般的には掛けた費用や労力に対する満足度のことを指すと思われ、類義語としては費用対効果やリーズナブル等が使われているようです。

以前にも記した記憶があるのですが、意外とそれら意味合いをはき違えて使用されている場合も少なくないように感じます。

例えば絶対的な価格が安ければそれだけでリーズナブルと表現される場合も見られ、大事な実際の使用性との兼ね合いについては評価基準として大きなウェイトを置かれていないようなケースも見られます。

それゆえ「安価=リーズナブル」のように用いられていることが少なくなく、その反対に一般的に高額と感じられるものはリーズナブルとは表現されないようにも感じられます。

仮に一般的には高額だと思われる製品やサービスにおいても、それ以上の価値を認めることが出来れば充分リーズナブルとも言えるでしょう。

このように、本来であれば「理に適う」とか「妥当な」とか「納得できる」との意味合いが、単に価格が安ければ納得できると短絡的に結びつけられたことが背景にあるようです。

もっと言えば、価格さえ安ければ少々のことには目をつむることも出来て「価格の割には悪くないね」との評価が一般化してように感じます。

一方のコストパフォーマンスにおいても、単に「価格の割には良い」との判断基準に基づき「コストパフォーマンスが高い」のように表現されることが多いように思われます。

もちろんそれも間違ってはいませんが、その価格の意味合いについても少しばかり掘り下げて探ると、仮に同じような製品と比較すると高額となるものにおいても、価格を設定するうえでの積算基準がまったく違うかもしれません。

例えば使用部材の仕入れにおいて、問屋経由なのか直接仕入れなのかにより入手価格はまったく違ってきますので、可能な限りコストを落としたうえで価格設定がされたものはその時点で充分コストパフォーマンスが高いと言えることも認識すべきだと考えます。

「家具の使い方」

現在はウォルナット無垢材のダイニングテーブルを使用しています。

天板は一枚板ではなく幅剥ぎ仕様となるものの、厚さは30mmあるためサイズ感の割にはがっちりとした印象となります。

天板の仕上げはオイル風に見えるウレタン仕上げとしており、個人的には現実的に最も使い勝手が良いだろうと考えています。

相応に愛着を持って大事に使用しており、もちろん食器類を直接置くようなことはないものの、5年も使用すると気が付けば相応に細かな傷が気になるようになっています。

それを防ぐためにと、天板全体にテーブルクロスや透明のビニールシート等で覆ってしまうことも選択肢かもしれませんが、それであれば最初から樹種や仕上げにこだわる必要もないのでしょう。

家具ゆえ使い込むにつれて相応に傷付いたりもしますが、それも含めて楽しむことが出来るものが本当に良い家具とも言えるでしょうし、傷付きを気にし過ぎることは本来の機能性として本末転倒になってしまうものとも思われます。

ソファにおいても同様だと思われ、悩んだ末に選定された張地なのに、汚れを気にするばかりにオーバーカバーで覆ってしまってはデザインも張地もまったく関係なくなってしまいます。

極論を言えば、大事にするばかりに使用することなく置物として眺めて楽しむようなこともあるのかもしれませんが、少なくとも家具においては使うことが製品に対する思いやりのようにも感じます。

個人的には極力新しい状態をキープしたいと考えるタイプともあり総合的にモノは大事に使う方だと思うのですが、直ぐに壊れることがない良いものをしっかりと使うことを心掛けることにより本来の機能性を発揮できるものと考えています。

良く言われることですが、家具と共に成長すべく使い込むことが自然でしょうし、ある段階では完全にリペアできるような仕様であれば更に安心して使い続けることが出来るのでしょう。

「明けましておめでとうございます」

例年同様の書き出しになるのですが、早いもので新年のご挨拶も今回で17回目となります。

これを機に過去16回分を一度に読み返すことも慣例化しているのですが、今年においては元日より大震災や大事故があり、記録の意味においてもそれらに触れる必要があるだろうとの気持ちです。

当方は石川県にて生まれ育ち、大学への進学を機に都内に移り住んだのですが、一旦Uターンすることにより仕事も一旦リセットすることになりました。

その行動が結果として現在に繋がっており、その後の自然な流れにより再度都内に住まいを移しています。

どちらの経験も現在に至る過程として欠かすことが出来なかったことは間違いありませんし、その点において今回の能登半島地震については思うことも少なくありません。

また、この大震災が発生しなければ起こっていなかっただろう羽田空港の大事故についても、その関連性を思うと何とも言えない気持ちになります。

海上保安庁の小型機は小松空港への救援物資を運び終えた後に羽田空港に戻り、続いて新潟空港へ救援物資を運ぶために離陸しようとしたところでの事故のようです。

要するにピストン輸送中だったと言うことになりますので、少なからずイレギュラーな飛行だったものと思われます。

報道を耳にする限りにおいては、C滑走路の出発機としての順番はナンバーワンと表現されているようですし、それがイレギュラーとはなるものの優先的に滑走路使用の順番を早めてもらったものと勘違いされた可能性を感じました。

その仕事内容からも管制官はとても優秀な方々でしょうし、航空機の機長や同乗者においても同様でしょうが、その指示系統は専門用語を用いた言葉によるものゆえ意思疎通がうまくいかなかったことは確かなのでしょう。

そのように考えると言葉は機械のように壊れたりはしないものの、意思疎通の重要性を改めて思い知ることになりました。

「現場施工」

いわゆる造作となる壁面収納家具を提案することもあり、先日は納品と施工に立ち会うことになりました。

当然のように現場での打ち合わせから始まり、その過程では現調も行いながら詳細仕様を詰めていきます。

求められる機能性も含めてその空間にベストマッチするように仕立てていくことになりますので、打ち合わせを重ねることにより新たな要望が増えてくることも珍しくはなく、納得できるまでこの作業を行うことになります。

またその過程では新たな気付きもあり、例えばLED照明を付けて飾り棚の要素を一部に設けるようなこともありますので、そうなると「何を飾るのか」のように更にワクワク度が増してくるものです。

これがその場に誂える造作家具ならではの醍醐味とも言えるでしょうし、そのようにいろいろと考える段階が最も楽しいのかもしれません。

そのような段階を踏むことにより最終仕様が決定し、仕上げ作業は当然のこととして納品と現場施工になります。

そのすべてを慣れている業者に丸投げすることも選択肢かもしれませんが、それに関わった者として最も大事な最終検証がありますので、極力リアルタイムに立ち会うように心掛けています。

その現場では腕が良いと評判の職人さんと久しぶりに現場を共にすることになり、配送業者とのやり取りから始まりそれらの搬入順の細かな指示に至るまで事前に予習されていることがうかがえるものです。

現場に入ることは初めてなのですが、設計図をもとにそのような緻密な指示が出せることには流石だとも感じると同時に、製品とお部屋を絶対傷を付けないとの細かな配慮にプロフェッショナル性を最も感じることになりました。

この意識は単にクレームに対する防御策と言うことではなく、完璧に仕上げる責任感はもちろんのこととして、最後の丁寧な清掃作業においても本物のプロだと再確認することになりました。

「家具の安全性」

いわゆるホームセンター家具とか雑貨ソファとか言われるような、安価ゆえの短寿命家具は多く存在しています。

組立式の家具においては、その素材としてパーティクルボードが用いられることが多く、それは木材チップを熱圧着したものともあり、その密度により木ネジの利き具合もかなりのバラつきがあるようです。

コストを抑えるためにも組立式となるのですが、それは一度限りと考えた方が無難なようで、何度もばらして組み立てることは想定されていないようです。

同じ木ネジ穴を用いると利かなくなるためですが、そもそも無垢材等と比較すると利き具合が甘いこともあり持ち上げて移動させる際にボードごと木ネジが抜けてしまった、なんてことも充分あり得ることです。

また、使用されるうえである程度の重量ともなると、一般的な地震の揺れにより最悪の場合は崩壊してしまうことも珍しくないようです。

そうなると寿命の問題ではなく暮らしの安全性にも直結してきますので、それら製品を見極める力も必要になります。

一般的にはとても安価な製品に多いものの、決して安価ではない有名海外ブランド製品の一部においても同様な基本仕様となるものも少なくない現実もありますので、価格帯だけでは判断しにくい部分もあります。

一方のソファにおいては、海外からの安価製品ゆえ安全性に大きな問題があるとは言えないものの、通年において過ごしやすい空間で使用することにより内部で害虫が繁殖したとの事例も耳にしたことがあります。

ソファにおいては一般的に内部構造が見えないだけに、常にそのような不安を抱えながら寛ぐことは不可能でしょう。

このように、コスト削減のために他国にて製造している一部欧州ブランド家具を除けば価格帯が製品寿命や安全性ともリンクしてきますので、このことは他の工業製品同様に、家具にも例外なく当て嵌まることを今一度再確認しては如何でしょうか。