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家具業界には相応に長く携わっているのですが、ソファの優先順位の低さについては大きな改善傾向が見られるように感じられません。

一方、ダイニングセットについては必需品との概念が定着しているようで、それだけにそれに割く予算も比較的高めであることに変わりはないようです。

この優先順位の高さは、住むために絶対必要な照明器具やカーテンとほぼ同等に捉えられているようにも感じられるくらいなのですが、それと比較するとソファにおいてはもしかすると180度近く違うのかもしれません。

必需品ではなく贅沢品だと思われているようでもあり、従って仮に予算が余ればその範囲内で購入しようとの意識面も感じられます。

結果として安価な製品で落ち着くことが多く、場合によってはソファ自体を購入されないケースも珍しくないようです。

これが一般的に多い事例だと考えると、先ずはソファに対する概念を改める必要があると思われ、決して憧れの贅沢品ではなく必需品であることを感じ取ることが第一歩となります。

このことは就寝時間を除く自宅での居場所を考えてみれば分かりやすく、ダイニングチェアやカーペット上だけでは満足な寛ぎを得ることは難しいものです。

比較的安価な製品に多く見られるような長時間寛ぐことが難しいソファにおいても同様で、気が付けばカーペット上に座ってソファを背もたれ代わりにするスタイルも少なくないのではないでしょうか。

一般的なソファは中身が見えないこともありブラックボックス化した分かり難い家具の典型的なものと言えますが、それだけにその中身について知る意識を持つことが良いソファと出会うための具体的な第一歩となります。

見えない中身には手を掛けることもなく、見栄えだけを重視したお化粧上手なソファに惑わされることがないように内面も知る努力は必要になります。

身体を預ける時間が長いソファは最も人間に近い存在と言える家具だけに、末永くお付き合いするためにも人間性を見極めることに近いものがあると言っても過言ではないと考えています。

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