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家具デザインにおいては、そのフォルムだけではなく機能性においても充分考慮する必要があります。

道具ですのでそれは当然のことなのですが、体感家具を代表するソファにおいては単に椅子の延長戦上にあるとの考え方では成り立ちません。

長椅子とはまったく別物となり、そのクッション性の振り幅はとても広いことからもそれだけに難しく専門的な分野だと言えるでしょう。

その形状を変えることで座り心地を表現すると言っても過言ではないソファだけに、またそれゆえのカスタマイズ性の高さもあるだけに、クッション材の素材についても相応に理解していなければ設計は出来ません。

先日はある展示会に足を運び、いろいろなソファに腰掛ける機会があったのですが、中には硬さが違う2種類のクッションより選定することが可能なものも見られました。

このようなソファは以前より見られることもあり特別感はないものの、やはり少しばかり違和感を覚えたものです。

慎重に座り比べなければ分からないくらいの違いであれば2種類設定する必要もないのでしょうから、当然のように明らかに違うことからも明らかにそのソファにとっての向き不向きも感じられました。

極端に柔らかく沈み込む座面ですと、見掛け上のSHよりも実際はかなり低いSHとなりますし、それにより背もたれ部との関係性も変化します。

例えばスタイルとしてローバックタイプに仕上げたものの、座面を柔らかく沈み込ませることにより背もたれ部のホールド感を増す工夫のものもありますし、その場合は座クッションを硬く沈み込まないものにしてしまうとその関係性が明らかに狂ってしまいます。

このようにソファにおいてはそのフォルムと同時に座り心地においてもデザインすることが必要になりますので、そのデザイン意図を知ることが出来ればそのソファの本質も見えてくるでしょう。

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