「現場施工」

いわゆる造作となる壁面収納家具を提案することもあり、先日は納品と施工に立ち会うことになりました。

当然のように現場での打ち合わせから始まり、その過程では現調も行いながら詳細仕様を詰めていきます。

求められる機能性も含めてその空間にベストマッチするように仕立てていくことになりますので、打ち合わせを重ねることにより新たな要望が増えてくることも珍しくはなく、納得できるまでこの作業を行うことになります。

またその過程では新たな気付きもあり、例えばLED照明を付けて飾り棚の要素を一部に設けるようなこともありますので、そうなると「何を飾るのか」のように更にワクワク度が増してくるものです。

これがその場に誂える造作家具ならではの醍醐味とも言えるでしょうし、そのようにいろいろと考える段階が最も楽しいのかもしれません。

そのような段階を踏むことにより最終仕様が決定し、仕上げ作業は当然のこととして納品と現場施工になります。

そのすべてを慣れている業者に丸投げすることも選択肢かもしれませんが、それに関わった者として最も大事な最終検証がありますので、極力リアルタイムに立ち会うように心掛けています。

その現場では腕が良いと評判の職人さんと久しぶりに現場を共にすることになり、配送業者とのやり取りから始まりそれらの搬入順の細かな指示に至るまで事前に予習されていることがうかがえるものです。

現場に入ることは初めてなのですが、設計図をもとにそのような緻密な指示が出せることには流石だとも感じると同時に、製品とお部屋を絶対傷を付けないとの細かな配慮にプロフェッショナル性を最も感じることになりました。

この意識は単にクレームに対する防御策と言うことではなく、完璧に仕上げる責任感はもちろんのこととして、最後の丁寧な清掃作業においても本物のプロだと再確認することになりました。

「家具の安全性」

いわゆるホームセンター家具とか雑貨ソファとか言われるような、安価ゆえの短寿命家具は多く存在しています。

組立式の家具においては、その素材としてパーティクルボードが用いられることが多く、それは木材チップを熱圧着したものともあり、その密度により木ネジの利き具合もかなりのバラつきがあるようです。

コストを抑えるためにも組立式となるのですが、それは一度限りと考えた方が無難なようで、何度もばらして組み立てることは想定されていないようです。

同じ木ネジ穴を用いると利かなくなるためですが、そもそも無垢材等と比較すると利き具合が甘いこともあり持ち上げて移動させる際にボードごと木ネジが抜けてしまった、なんてことも充分あり得ることです。

また、使用されるうえである程度の重量ともなると、一般的な地震の揺れにより最悪の場合は崩壊してしまうことも珍しくないようです。

そうなると寿命の問題ではなく暮らしの安全性にも直結してきますので、それら製品を見極める力も必要になります。

一般的にはとても安価な製品に多いものの、決して安価ではない有名海外ブランド製品の一部においても同様な基本仕様となるものも少なくない現実もありますので、価格帯だけでは判断しにくい部分もあります。

一方のソファにおいては、海外からの安価製品ゆえ安全性に大きな問題があるとは言えないものの、通年において過ごしやすい空間で使用することにより内部で害虫が繁殖したとの事例も耳にしたことがあります。

ソファにおいては一般的に内部構造が見えないだけに、常にそのような不安を抱えながら寛ぐことは不可能でしょう。

このように、コスト削減のために他国にて製造している一部欧州ブランド家具を除けば価格帯が製品寿命や安全性ともリンクしてきますので、このことは他の工業製品同様に、家具にも例外なく当て嵌まることを今一度再確認しては如何でしょうか。

「ソファレイアウト」

お部屋探しの際には、生活必需品となる大型家電や家具のレイアウトについても同時に検討されるものと思われます。

例えば冷蔵庫や洗濯機においては、その用途からも概ね設置場所が設定されているものです。

テレビの設置位置についても概ね限られることからも、メインとなるリビング内に絞り込むと一般的には2箇所程度にアンテナ端子が設けられているように思われます。

ダイニングセットにおいても、動線や使用性の観点からもキッチンに程近いところに設置されることが多いものです。

一方、ソファについてはどうでしょうか。

一般的にはテレビの位置が決まるとそれに対面させる形で検討されることになり、そうなると必然的に画面サイズやスタイルも絞り込まれてきます。

もちろんそれも否定するものではなく、それだけテレビの存在は日常生活に入り込んでいることからも、折角なのでソファに腰掛けながら、時にはカウチソファに横になりながらゆっくりと視聴したくなるのでしょう。

その反対にテレビの存在があまりにも日常的であるがゆえに、たまにはあえてテレビとは離れて外の風景を眺めるレイアウトも良いかもしれません。

そのためには一般的に90度向きを変えることになるため、大型家具ともありそれを日常的に行うことは現実的でもありません。

それゆえ、二方向を向いて腰掛けることが可能なL型となるコーナータイプが理想形かもしれませんが、それにはかなりのスペースを要しますので、残念ながら一般的とは言えないようです。

ソファとは幅広のイメージが先行しがちですし、その使用性からもそれがソファだと言えるかもしれませんが、それとは別に比較的移動させやすい一人掛けソファがあるとソファでの寛ぎ方にも新たな発見があるように感じています。

「サンプル」

それもお仕事なのでしょうが、インテリアコーディネーターの方々は内装材等の多くのサンプルを持ち施主様と同行にていろいろなショールームをまわることになります。

プレゼンテーションの段階ではそれらの小さなサンプルをボードに貼り込み、いわゆるプレゼンボードを作成のうえ施主様に対してイメージを説明することになるのでしょう。

当然プランニングも行いますので、設置される家具においても動線も考慮したうえで適正サイズだと思われるものにて図面中への落とし込みも行います。

多くの場合は取引があるメーカーの具体的な製品も提案に含まれ、例えばダイニングチェアやソファ用に準備されている張地においても選定のうえ小さなサンプルにて提案するようです。

もっとも、記録用と割り切ってメーカー各社が配布用として準備しているとても小さなサンプルを入手しているのでしょうが、数センチ角となるとても小さなものにてイメージを把握することには無理があると思われます。

特にソファにおいては表面積がとても大きくなりますので、面積効果と言われる実際の見え方を充分把握したうえで相応な経験値もなければ難しいものです。

同様なことには、明度対比・色相対比・彩度対比がありますので、つまり色を正確に見極めることはとても難しいことなのです。

それゆえ、仮にそれらの実際の見え方の説明を受けていたとしても、完成形がイメージとは違ったなんてことはごく普通に起こり得ることだと思われます。

そうならないためにもサンプルは大きいに越したことはありませんので、特にソファにおいては大きなサンプルを現物に掛けて少しばかり離れたところより確かめることがお勧めです。

また、ウッドフレームタイプにおいては木部カラーとの兼ね合いも生じますので、この部分も含めて可能な限り大きなサンプルにて確かめることが失敗を無くすうえで重要になります。

「張地の重要性」

ソファにも使用可能な生地はいわゆる椅子張り地となり、当然ですが耐摩耗性等において最低限必要とされる強度面を保持するものになります。

それらは日本の大手生地メーカー各社からも多くがラインナップされており、一般的にはミニマム発注量はあるものの必要となる要尺分のみ都度発注することも可能です。

それゆえ割高とはなるものの、スペース的にも資金的にも反物として多くの在庫を持つ必要もなく、更には国内在庫品ともあり発注から手元に届くタイミングが比較的早いことも便利なものです。

かつてはいわゆるコントラクト物件用として指定されたこれらを使用してきた経験があるのですが、不特定多数の方々が使用される性質からもどちらかと言えば機能性が優先されることもあり、想像以上の仕上がりとなった経験は一度もありません。

常に想像の範囲内となり、それ以上でもなければそれ以下でもありませんので、その性質からももしかするとそれがベストなのかもしれません。

一方では、各社より毎年特徴的な生地が開発され続けているイタリア製においては、それらを見て触れるだけでもとても楽しいものです。

生地ゆえやはり触れることは絶対的に必要なのですが、その触感と視覚的な効果を上手にマッチングさせていることにはいつも感心させられることになり、またその独特な色使いや発色の美しさにおいても個人的にはイタリア製が一番だと感じています。

もちろん最低限の機能性も有しており、それが過剰ではないことにより上手に遊び心も取り入れることに繋がっているようで、何よりも実際ソファ等に張った際の見え方は多くの場合想像を超えてきます。

保管スペースと資金面は必要になるのですが、それらを多く在庫することにより何よりもコストを大きく抑えることが可能になりますので、それゆえのコストパフォーマンスの高さについても最大の武器になるものと考えます。