「ソファのデザインと機能」

「ソファのデザインと機能」

ソファにおいては、座高(SH)寸法はあくまでもひとつの参考として捉える必要があります。

椅子とは違い多くの場合は腰掛けるとお尻の位置は沈み込むからであり、実際の座高はそれよりも低くなることが通常です。

同様に、総高(H)寸法においても設置上の問題を除けば、座り心地において特別強く意識することもありません。

背もたれ部においては、あくまでも実際の座面高との相関関係により機能性が決まってきますので、仮にスペック上の総高が比較対象品よりも低かったとしても、座り心地にそのまま影響するものでもありません。

ソファの場合は、機能性はもちろんのこととして、実際お部屋に設置した際の圧迫感についても決して軽視できない部分になります。

天井高に象徴される空間の広さが大きく関係することもあり、ショールームでご覧になった際よりも実際お宅に設置したときの方が一般的に圧迫感を覚えることになりますので注意が必要です。

そのような観点からもウッドフレームタイプは有利に働きますので、張ぐるみタイプにはないポイントを一度整理しておきたいと考えます。

なんといっても「抜け感」にあることは間違いありませんので、実際そのように感じられるデザイン性や仕様であるのかチェックする必要があるでしょう。

単に物理的に抜けているだけではそのように感じられないこともありますので、抜け方についてはデザイン性と密接な関係があります。

つまり抜ける部分を窓と捉えた向こう側の見え方も大事になると言うことであり、フレームラインとそこから望むクッションの柔らかさや張地とのコントラストを更に際立たせる工夫もあります。

その見極め方としては、難しいかもしれませんが上方からも含めて様々な角度から一度ゆっくりと眺められることをお勧めします。

「デザインバランス」

ソファをデザインする際には、一部の例外を除き当初設定される最大サイズにてバランスを取ることになります。

それがいわゆる3Pサイズだとすれば、それよりも小さな2Pサイズとした際には、厳密に言うとデザインバランスは最高のものとはならないと言うことになります。

例えばソファのアーム部については、3Pサイズのものよりも2Pサイズのものの方が若干幅は狭く、高さは低く設定されなければいけないのかもしれません。

しかしながら製造コストのことを考えるとそれは難しいことが現実ですし、結果として全体としての販売価格がアップすることは避けるべきでしょう。

先日はオーセンティシティソファを気に入られた方より、設置スペース上の問題より大きな3Pサイズは難しいためひとつ小さな2.5Pサイズを検討したいのだが、デザイナーとしてこだわっているバランス面において納得したいとの内容がありました。

単純な質問として、例えばドラえもんのスモールライトを用いて若干スケールダウンすることで問題はないのでは…との発想です。

もちろんその通りでそれの究極の形が縮小模型になるのですが、それを使用される人間もまたそれに合わせて縮小されなければいけないことをお伝えすると、苦笑されながら大きくうなずかれました。

ソファはそもそも人間が使用することを想定しており、人間工学の観点から重要な基本サイズを設定することになります。

人間が快適に使用する家具であるだけに機能性を無視したものは単なる線のお遊びと言うことになりますので、このことは終始一貫して大事にする必要があります。

価格においても重要な要素となりますので、すべてにおいてバランス感覚を持ち、どのようなサイズであっても決してデザインバランスが崩れるようなことにならないように充分配慮することがデザイナーの務めでもあります。

「好き嫌い」

多くの人にやさしいことやものとして、ユニバーサルデザインと言う概念が存在します。

このこと自体とても意味のあることでしょうし、その範疇は多岐にわたるものだと思われます。

しかしながらそれは多くの人に好まれるデザインと言うこととは別で、どのようなデザインにも当然のように好き嫌いはあるものです。

出来ることならばそれを好きだと感じる人が少ないよりは多いに越したことはないでしょうし、この部分はデザインを考えるうえで少なからず意識することになります。

好き嫌いが激しくなりそうな癖の強いデザイン性は避けるべきだと言うことになりますが、多くの人に好まれるデザインとはどのようなものなのかについては明確な物差しがあるものでもなく、感覚的なものに左右されることになります。

別の尺度としての印象に残るものとしては、もしかすると万人受けするようなデザイン性のものよりもそうではないものの方が強いのかもしれません。

この部分も重要な要素であり、癖が強くなり過ぎないように特徴を表現することを意識することが個人的な基本姿勢となります。

デザインとはその匙加減でしょうし、良い意味であえて力を抜く部分も必要になることは経験でしか学ぶことは出来ないのかもしれません。

天然木を用いた家具の場合は工芸的な要素も含まれてくることからも、単なる外見上のフォルムだけではなく作りの部分もクローズアップされるべくデザインすることが大事になりますので、更に難しいこととも言えます。

同じ機能や性能を有するものであればデザイン性にて判断されることになるのですが、必ずしもそうではない家具の場合は唯一無二の存在になることも可能なものだけに、今後においてもオーセンティシティがその位置付けであることを強く意識していきたいと考えているところです。

「似て非なるもの」

ブランディングがうまくいくことにより、相応に注目を集める家具も少なくありません。

そのこと自体を否定することは出来ず、それも重要なポイントとなることを再確認する機会も少なくないのですが、どうしても製品自体の本質を見てしまう癖があります。

ブランディングするうえでは、製品自体はもちろんのこととして関わる全てのデザイン性が非常に重要な要素となり、それがすべて伴っていなければ成功することもないのでしょう。

この分野は各々のプロに任せることで少なくとも外見上の体裁はきれいに整えることは可能なのですが、製品自体の中身についてはメーカーの資質が問われることになります。

製品自体のクオリティは絶対的に安心できるものでなければ成り立たないのでしょうし、それが本物のブランドと言えるのでしょう。

そのことが証明されるまでには相応な時間も要することになり、多くの場合はその時期を待つことなく短命で終わっているのかもしれません。

反対に、急激にブランディングされることはなかったとしても、気が付けば立派なブランドに育っているものもあるのかもしれません。

一般的には表面的な恰好良さに意識が行きがちですが、肝心な製品自体にもそれまで以上に意識を傾けることをお勧めします。

その位置付けを把握するためにも多くの製品と比較することも大事でしょうし、その過程では見極めるために必要となる知識も少しばかり習得する前向きさがあるとそれに越したことはありません。

一般的には違うメーカー製品を横に並べて比較することは難しいことからも細かな違いについては感じにくいのかもしれませんが、とにかくいろいろな製品を良く見て感じることにより本質を見極める目を持つことが可能になります。

話題になればなるほど類似品が増えてきますが、似て非なるものが見えてくるようになれば家具の見方も変わってくると思われます。

「木部と生地」

ウッドフレームソファの最大の特徴と言えば、木部と生地の共存があるものと思われます。

このことは座面や背面が生地で張られた椅子にも言えることですが、この見え方とは違う部分に気付かれていない方は意外と少なくないようです。

椅子の場合はその性質上、壁を背負わせて設置することは少なく、また一般的には軽快な家具であることからも設置場所が固定される概念はないものです。

他の家具とは違い、正面だけが見える家具ではないことも普通の概念としてあるでしょうし、それを選定される基準も正面ばかりではなく側面や背面からの見え方も含まれるものと思われます。

ソファにおいては椅子ほど軽快な家具とは言えないこともあり、多くの場合は設置場所を決めたうえで選定されることになります。

それだけにそのサイズについては大きな選定要因となり、設置後の生活動線についても決して無視できない大事な部分と言えます。

間取りにより設置場所が必然的に決まってくることも少なくなく、ダイニングルームとリビングルームを仕切るようにレイアウトするケースも比較的多いものです。

その場合はダイニングルームよりソファの背面が見えることになり、そのこと自体は理解されていることが多いものの、背面についてはそれほど強く意識されることなく選定されることも珍しくないようです。

以前にも記した通り、ウッドフレームソファにおいては背面からの見え方も強く意識してデザインすることになります。

それは単に木部のデザイン性だけではなく、ソファとして機能させるために必要なクッションの見え方についても同程度意識しているのです。

ソファの場合は張地選定もとても楽しく迷われる部分ですが、ウッドフレームタイプにおいては木部と生地が組み合わさった際の見え方を最優先されることにより新たな発見も生まれるものと思われます。