「露出度」

「露出度」

オーセンティシティを開発した2003年当初において、その写真撮影場所としていろいろとロケハンに出掛けたことを思い出します。

これは現在も変わっていないこととして、あえてその製品には色を付けたくないとの想いがあり、それだけに一般住宅内での撮影は極力避けることになりました。

イメージとしては博物館や美術館等の無機質な空間があり、時には海や湖だけではなく、滅多に人が入り込むことがないような山奥の小川に差し込む早朝の光線を狙った一発勝負に出たこともあります。

そのいずれもが成功したと考えているのですが、やはり実際住まわれている個人邸に設置した際のスケール感やマッチング性を表現するためにも、一度だけ場所をお借りしたことがあります。

部屋数も多くまたその各々が贅沢に設計された立派なお宅ゆえ、家具においても有名なイタリアメーカー製品が程よく設置されていました。

ロケハンの際より施主さんとはいろいろお話する機会に恵まれ、それがご縁でご自身用に一人掛けソファをご使用いただくことになったこともあり、その実際の評価も一番先に直接お聞き出来たと言えます。

ギターを用いて作曲活動を行うにあたり、アームの高さや座面の広さはちょうどよいとの評価と共に、もっとブランドとして世に知らしめる必要があるだろうとのアドバイスをいただいたものです。

勝手に「知る人ぞ知る」ブランドが渋くて格好良いとも考えていたのですが、「知識としての選択肢に入っていなければ買うことも出来ないじゃないですか」と言われたことは印象的で、このような考え方は不親切であることを思い知ることにもなりました。

その後においては相応にブランディングを行ってきたと言えますが、14年程度が経過したところではその効果的な手段もずいぶんと変わってきたと言えますので、時代にマッチさせながら更に露出度を高めていく必要性について実感しているところです。

「カウチ」

カウチの歴史をさかのぼれば、古代ギリシャ時代までタイムスリップすることになります。

市民家庭において既にその原型となるものが使用されていたのですから、寛ぐための寝椅子として自然とその形状が生まれてきたことをうかがい知ることが出来ます。

そのように考えると、カウチと言われるものは少し横になって寛ぐためには本来必要なアイテムになるのかもしれませんね。

椅子も食事や各種作業を行うための必需品ですが、それだけに長時間腰掛けていることは寛ぎにならないと言うことでしょうし、カウチまでは必要なくともやはりソファは必要な家具であることは間違いないようです。

元来カウチと言うものは単体にて使用されていたものですが、一般的なソファにこの機能を有した縦長のソファをL字形に組み合わせることによりカウチソファなるものが生まれてきたもので、その贅沢感あふれるスタイルに憧れを抱かれる方が多いことも事実のようです。

最初にその憧れを実現するタイミングは、念願の自宅新築時やマンション購入時なのかもしれませんし、現実的にいろいろと探し始められることになるのでしょう。

しかしながらここで最初の大きな問題に直面することになります。

カウチソファは2台をL字形に並べることが一般的であることからも、その大きさや形状からも設置するスペースの問題が少なからず生じます。

その際にはコンパクトなカウチソファが必要になるものの、あまりにも小さ過ぎると本来のカウチの意味がなくなってしまいます。

そのような場合は実際腰掛けたり横になったりするスペースとなる有効面積を大きく減らすことなくそれを実現することが重要になりますので、構造的にはウッドフレームタイプがその欲求を満足させることになるのです。

「オープンスタイル」

一般的にソファは左右両方に肘掛けが付いており、その高さや形状により単に肘置きとして使用するだけではなく、時にはそれを枕として横になったり背もたれ代わりに使用したりと、その使用性は様々と言えます。

ソファは本来寛ぐための家具であることからも、このように左右のアームは何かと重宝するものです。

一方ではアームレスソファと言われるものもあり、これは文字通り左右両方ともに肘掛けが付いていないタイプになります。

本来あるべきものがないのですから、もしかすると使用性に難があるようにも感じられますが、一般的には狭い空間にソファを設置する際に向いているようです。

左右にアームが付いていることによりソファは三方向が囲われた箱のような形になりますので、狭い空間の場合は圧迫感が強くなるものと思われます。

それが背もたれ部の一方だけになるのですから、当然のように圧迫感は薄れその代わりに解放感の方が強くなるのでしょうし、またアームがないことにより正面だけではなく横側より腰掛けるようなことも可能になります。

時にはその横にオットマンを設置することによりワイド方向を伸ばすことも可能になりますので、足を思いっきり伸ばして更にゆっくりと横になることも出来ます。

このように腰掛け方においてはある意味自由度が広がることになり、このこともこのスタイルが選ばれる理由になっているのでしょう。

そのように考えると、両方にアームがないアームレスタイプではなく、どちらか片方だけのアームがないタイプの使い勝手は両タイプの良さを相応に活かしたものになるように感じます。

このように左右どちらかのワンアームタイプもひとつの選択肢に加えることで、絶妙なオープンスタイルを実現することが出来るかもしれません。

「世界基準」

家具の中でも特に、椅子やソファはそれに直接腰掛けるだけにその使い勝手は各々の体格と密接な関係があることは間違いありません。

最も分かりやすいところではキッズ用の椅子もありますし、これは極端な例ですが大人であってもその体格差は決して小さなものではありません。

男女の体格差も歴然としているものの、性別による家具開発が一般化しているものでもありません。

洋服のように家具においても体格別に細分化することも可能だと思われますが、そこにはコストの問題が発生することは容易に想像出来ます。

結果として、一般的には標準的なサイズを基準として製品が開発されることになるのでしょうが、それだけに家族全員にとってベストなサイズとなる家具を見つけることは不可能と言っても過言ではないのでしょう。

ソファにおいてもこの問題は少なからず見られ、好みのデザイン性や体格とのマッチングの観点からご主人と奥様の意見が食い違うなんてことも当然のように起こり得ます。

そのような際に、ご夫婦別々に2台を選ばれるようなことも現実的に見られるようになっていること自体悪いことではないものの、心情的には同じソファに家族揃って腰掛けていただくことを望むものです。

日本国内だけに限ってもこのような現象は少なからず見られるもので、世界に目を向けるとこの基準は更に難しくなります。

そのひとつに標準体格に合わせたサイズ感があることはもちろんのこととして、世界基準とマッチさせるためにはそれ以上に意識しなければいけないことが多々あるのかもしれません。

いずれにしても、もっと広い視野で全体を見渡す必要があるのでしょうし、今までの日本標準サイズについての固定概念に対しても、少しばかり勇気を持って内側から殻にヒビを入れていくことから始めたいと考えています。

「新たなスタイル」

すべてをオリジナル製品にこだわり、ライフスタイルショップとしてオーナーさんのセンスを全面に打ち出し展開されていたショップは既に懐かしい存在になっています。

当時はそのスタイリングに憧れを抱き、自分たちも同じような空間で生活してみたいとの意識にて大いに参考にする部分もあったようです。

そのような時代を経て、おそらくは知識も物も豊かになったのだろうと思われますが、少なくとも当時ほどそれを求めることもなくなったのでしょう。

そのようなリアル店舗に足を運ばなくとも容易に情報を入手することが可能になったことも背景にあるでしょうし、ともかくもインテリアのつくり方には少なからず変化も見られます。

おそらくですが、まったくの無の状態からそれをつくり上げることが出来る方は少ないと思われ、リアルなものか写真等の映像なのかは別として、何処かで目にした空間に多少なりとも影響されるものと思われます。

そうなると、比較的良く目にするモノに影響されがちになることは当然のことでもあり、結果としてそれらが用いられた空間は必然的に多くなります。

このように好循環することでヒット商品が生まれてくるのでしょうし、やはり露出度を高めることの効果は大きなものなのでしょう。

しかしながら、このような傾向が強すぎることはワンパターン化にも繋がりますので、結果として多くの空間にはインパクトのある個性を見出すことが出来なくなったように感じます。

家具や照明器具だけではなく小物に至るまでトータルコーディネイトされていますので、必然的にまとまりもありどれも綺麗なのですが、スタイルとしての選択肢は意外と少ないのかもしれません。

伝統もあるため新たなスタイルが簡単に生まれてくるとは思われませんが、スタイルをつくり上げるための家具の位置付けはとても高いと言えるため、今後においてもそれを追い求めたいと考えます。