「機能と大きさ」

「機能と大きさ」

ソファにおいては、リクライニングするものやヘッドレストが立ち上がるものも多機能に当てはまるものと思われます。

後者の代表的なものとしてヴィコ・マジストレッティがデザインした「マラルンガ」が有名ですし、その機構をベースとした類似品は各社より販売されています。

一般的にヘッドまで支えることが可能なハイバックタイプは圧迫感が強くなることもあり好んでデザインするものでもないため、時にはそのようにも形を変えるソファの存在意義はあるのだろうと考えています。

別途ヘッドレストをオプション設定しているものも少なくなく、やはりこの機能は必要に応じて形を変えたり追加したりすることにて対応することが良さそうです。

また、通常よりもシートの奥行きが深いタイプは各種姿勢を可能にすることからも多機能だと言うことが出来ます。

背クッションを二重にして通常に腰掛けることはもちろんのこととして、時には座面上に上がり込み胡坐をかいたり横になったりと、ある意味日本人的とも思われる各種使い方に対応することになります。

ソファの場合は「大は小を兼ねる」と言っても過言ではなく、小さなものは大きく使うことは不可能なものの、大きなものはクッション等にて調整することにより小さく使用することも可能となります。

このように、ある機能に特化した可変ソファとは別の観点において、それ自体のサイズが関係することも間違いありません。

一般的には生活動線も充分考慮したうえでスペースに適したサイズのものを選定することになるのですが、ソファにおいては単なる飾りではなく典型的な機能家具となることもあり、いろいろな姿勢にて寛ぐことが可能なものを充分吟味されることをお勧めします。

また、体格差を埋めるソファとしては大きなものを基準とされることが大事になることも付け加えておきます。

「ズレ」

特別な神経質ではなくても、ピッタリと合っていないと気になることは少なくないようです。

例えば隙間から光が漏れるとか、がたつくとか、わかりやすいものでなければ見た目には分かり難いものの、手に触れるとその若干の段差が気になる場合もあります。

このようなことは、コンマ何ミリかの精度を求めることが出来ない建築工事の場合は仕方ないと納得することも出来るのでしょうが、家具においてはそれに求められる精度が格段に高いこともあり多少なりとも気になるものです。

特にソファの場合は手に触れる部分が少なくないことからも、見た目はもちろんのこととして、触感にも充分耐え得る精度が必要になると思われます。

しかしながら安価な製品に多くを求めることは少ないと思われるため、やはり価格とクオリティのバランス感覚はかなりシビアなのかもしれません。

高額品に対しては相応のクオリティを求めることが自然だと言うことですので、その期待に充分応えるべく細心の注意を払った製品づくりが必要になることは間違いありません。

以上は物理的なズレについてですが、感覚的なズレは分かりやすい指標がないこともありとても分かり難いもののようです。

同じくソファにおいては、例えばデザイン性とそれにイメージする座り心地とのズレは大きな影響を及ぼすことになります。

腰掛けた瞬間に「あれっ」何か違うと思ったところで選択肢よりあっさりと外れてしまうことも珍しくないように感じています。

座り心地はとても主観的なものゆえ明確に数値化できないことからもこれもとても難しいことになるのですが、デザイン性と座り心地を一致させることは意識としてずっと持ち続けています。

ちょっとしたズレですが以外と大きなズレとなることもありますので、この点については常に注意を払いたいと考えています。

「真髄」

ソファのベースクッション部分については以前にも記したことがあると思われます。

本体に座クッションや背クッションが置かれるタイプであれば、それらを取り外した下の部分がそれに当たります。

一般的には見えない部分ともあり、それだけに悪い意味でのブラックボックスとも言えるかもしれません。

皮肉なことにコストダウンを図る部分としては最適な部分ともなりますので、おそらくはその構造体の仕様について積極的な説明を受けることは少ないものと思われます。

反対に、その上に設置されるウレタンの質や比重、また一部仕様に見られるポケットコイル等の説明は比較的積極的だと思われます。

それらはどちらかと言えば表層部に近いところの仕様となり、比較的簡単に目視することも可能な部分ですので、説明する際にも適しているのでしょう。

もちろんそれらも重要な要素であることに違いはないものの、それ以上に肝となる部分に見えない部分となる構造体があるのです。

比較的よく耳にするものとしては、コイルスプリングやSバネ(スネークバネ)があると思われ、それらの耐久性に比べるとウェビングテープは多少なりとも劣るとの内容です。

ウェビングテープ自体の品質に問題があるとの認識もまかり通っているようにも感じられますが、一部の粗悪品を除けばそれは既に過去の話となります。

その背景としてはいろいろとあるのですが、簡単に言えば品質が最も高いとされるイタリア製ウェビングテープを用いることによりかなりのコストアップとなることが最大の理由となります。

従って、これを用いるソファはイタリア高級ブランド製品に多くなるのですが、それがソファの下地として最も優れた素材である証でもあるため、情報を正しく受け止め真髄を見極めることが大事になります。

「適正価格と価値」

適正価格が分かり難い家具の代表格としてソファがあるのだろうと考えており、

その理由としては二桁も違う価格面が背景にあるとも考えています。

一般的には数万円~数百万円の範囲となりますので、これほどまでに価格差が大きい家具は一部の特殊なものを除けば他にはないのではないでしょうか。

その中間的な価格帯をどの程度と捉えるのかについては個人差もあると思われますが、少なくともその耐久性を考えた際に一般的にはヴォリュームゾーンとされる10~20万円は違います。

一方では、それらヴォリュームゾーンとされる価格帯製品を購入される方々においては数年持てば充分と考えられていることは少ないとも思われます。

おそらく最低でも10年程度は普通に使用可能とのイメージを持たれているでしょうから、自信たっぷりに10年保証と謳う製品も少なくないのかもしれません。

10年間の保証で充分と捉えるのか短いと捉えるのかこれも様々でしょうが、一般的には10年間が一つの目安になると考えても大きなギャップはないのでしょう。

私が新卒時に入社した大手家具総合メーカー勤務時代には、「ソファの寿命について質問された際には7年程度と答えなさい」と耳にした記憶があります。

10年と答えると仮に5年で寿命を迎えた場合は半分となることからもクレームに結び付く・7年程度と答えれば仮に5年で寿命を迎えたとしても使い方に問題があったものと納得される・10年持てば上出来と思われるとの内容です。

それには絶句したもので、そのようなメーカーがすべてではないと思われるものの、その程度の自信しかない製品も少なくないようです。

実際の製造コスト面を考えると、おそらく10~20万円の価格帯では絶対的な自信が裏付けされる製品開発は難しいとも思われますので、最低でも40~50万円を適正価格と考えることが自然だと思われます。

上質な木材を露出させた製品は更に高額となることからも一般的な概念としては受け入れ難い価格帯となるのかもしれませんが、その価値は充分あるものがオーセンティシティソファとなります。

「デザイン性と機能性」

ソファのデザインにおいては、格好良さを意識するとロータイプ且つ大型となるように感じています。

 

背景として客層や住宅事情もあるのかもしれませんが、イタリア高級ブランドメーカー各社の製品を見るとその傾向が顕著だと思われます。

 

そのようなソファを綺麗に見せるためにも、その前に設置されるセンターテーブルの類は更にロータイプとなることからも、実際の機能性を想像した際には明らかにデザイン性が優先されていることが見えてきます。

 

一方、後頭部までホールドされるようなハイバックタイプにおいては、それを設置した際の圧迫感はさることながら、やはり格好良さを意識すると積極的にそれを描こうとはしないものです。

 

結果として別途ヘッドレストを設けることになるのですが、その機能を活かすためにも先ずは安定した座り心地とする必要があるため、背もたれの高さが重要になります。

 

一般的には肩甲骨をカバーすることが大事になりますので、必然的にSH(座面高)に対する絶対高が概ね決まってくると言うことです。

 

それらは製品サイズにて確認することも出来るのですが、ソファの場合は座面が相応に沈み込むため単に表示寸法だけでは判断できないことも事実です。

 

つまりデザイン性を求めると全体的にあまり高さがないものとなり、座り心地を代表する機能性を求めると相応な高さが必要になると言うことですので、この関係性は相反することになります。

 

ロータイプでありながらも安定した座り心地も持たせることは難しいと言うことになりますが、ソファの場合は座クッションの沈み込み具合を調整することにより背クッションとの相関関係を操作することも出来ますので、それを設計に取り入れる必要があるのです。

 

すなわち、ソファにおいてはその形状をデザインするだけではなく座り心地もデザインすることが必要になりますのでかなり奥深いものと言えるでしょう。